子どもも見よう見まねで ユニークな「口説き」で盆踊り 福岡・行橋

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口説き歌と竹太鼓のリズムに合わせて踊る参加者=福岡県行橋市下稗田で2025年8月13日午後8時29分、松本昌樹撮影 拡大
口説き歌と竹太鼓のリズムに合わせて踊る参加者=福岡県行橋市下稗田で2025年8月13日午後8時29分、松本昌樹撮影

 福岡県行橋市下稗田地区では、「口説き」と呼ばれる独特の文句に合わせて踊る昔ながらの盆踊りを継承している。「下稗田盆踊り」と呼ばれる。遠くは四国など、さまざまな地域の文言を受け継いでいるのが特徴で、今年のお盆も地区の住民や帰省中の地元出身者らが「ヨイトサノサノドッコイサノサ」などと合いの手を入れながら舞った。

 本松敬治区長(79)によると下稗田盆踊りが隆盛を極めたのは江戸後期から明治時代。いろは48字を頭にそろえた長編の物語や数え歌、尻取り歌など、口説き文句がユニークなのが特徴。全部で14種あるという。

 江戸時代後期、地区には定村玄甫(げんぽ)という高名な眼科医の診療所があり、治療のため遠方から訪れた人々が滞在中に盆踊りに参加して各地の風習を伝えた。口説き歌の中には、現在の大分県日田地方や四国との関わりを示す言葉が含まれる。

 以前は口説き手や住民が初盆の家々を回り亡くなった人をしのんで踊ったが、高齢化や踊る場所の確保ができないなどの理由で辞退も増えるなど、地区の様子も変化してきた。このため区の役員らは「盆踊りは貴重な民衆文化。一度消えれば絶えてしまう」として保存方法を模索。盆踊りの伝統を守ってきた名人から口説きの文句を聞き取り若い世代に伝え、散逸した記録を集めて継承に努めてきた。

 今年はお盆の期間中、盆踊りの実施は3回。13日、大吉寺では5人の口説き手が代わる代わるマイクを握って計12種の口説き歌を響かせた。集まった約40人は輪になって踊りを披露。ベテランの大人の動きに倣って見よう見まねで踊る子どもたちもいた。

 軽妙な踊りを見せた松本智恵子さん(69)は「盆踊りは嫁いできた時に夫に付いて覚え、今では体が覚えている。地域の文化が次の世代に受け継がれるといい」と話した。【松本昌樹】

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