相続空き家の火事が心配「火災保険の加入」なぜ難しい

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 空き家が増え、管理の悩みを抱えている人は多い。シニア世代が親の家を相続したものの、そのまま放置しているのが典型像。建物を適切に管理するには火災保険などで備える必要があるが、空き家はほとんどの場合、住宅向けの火災保険には加入できないなど、注意すべき点が多い。

実家を相続「そのまま放置」が典型に

 空き家が増えている。居住目的でない空き家の数は2023年で385万戸と20年間で約2倍になった。

 住宅は適切に管理しないと劣化し、外壁や屋根が落ちたり、家屋が倒壊したりと危険をもたらす可能性がある。ごみの投棄や害虫・雑草の繁殖など環境悪化や、防犯上の問題につながる不安もある。

 空き家対策はここ10年で法整備が進んだ。23年施行の改正空き家対策特別措置法では、窓や壁が壊れるなど管理状態の悪い空き家も、固定資産税などの優遇措置から外されるようになった。

 空き家は、シニア世代が実家を引き継いだものの、持て余すケースが多い。国土交通省調査によると、空き家所有者の5割以上は相続で取得し、約3割は将来的も利用意向がない。

 だが、空き家を維持していくなら適切な管理は不可欠だ。空き家の損壊などで第三者に損害を与えた場合、所有者に法律上の賠償責任が生じる可能性がある。

 火災のリスクも高まる。消防庁によると、23年は放火や放火の疑いによる火災が4111件発生し、全火災の約1割にのぼる。人の目が届きにくい空き家は狙われやすいとされる。電気系統の老朽化などによる火災リスクもある。

 1899(明治32)年に制定された「失火責任法」は、火災が発生し周辺に損害を与えた場合、重大な過失がなければ、損害賠償責任を負わな…

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