
「自分に対しての期待値は高くはないのかなって」
2025年度のバレーボール男子日本代表43人が発表されたのは4月17日。その中に、セッター山本龍選手(24)=ターラント=の名前はなかった。
一方で、初選出の大学生セッターらが名を連ねていた。明言はしなかったが、山本選手のプライドが傷つけられたことは想像に難くない。
その3週間後、山本選手は「追加登録」という形で日本代表入りが発表された。直後に東京都内で開かれた合宿には参加したものの、5月末にチームからの指示で活動を離れている。
23年のパリ・オリンピック予選にも出場した期待のセッターは、逆境に何を思い、どこを目指しているのだろう。【玉井滉大】
バレーボールは、日本の「和」の精神を想起させます。華やかなスパイクは試合の華ですが、ボールを拾い、つなぐ選手たちがいて、歯車がかみ合います。
「セッター流」では、チームの司令塔役の生き様に迫ります。=随時掲載
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3:窓の外には地中海 山本龍がギリシャで思索した人生
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自信も根拠もあった
今季は絶対的司令塔の関田誠大選手(サントリー)が代表活動を休養しており、セッター争いに注目が集まっている。
山本選手は率直な思いを明かす。「保証はないですけど、(代表でのプレーの)機会をいただけるのかなと、少しは思っていました」
男子の日本代表は通常、国際大会に臨む主力のA代表と、それを補完するB代表とに分かれて活動している。昨年、B代表でプレーした山本選手だが、自信も根拠もあった。
昨季はギリシャ1部のミロンでプレーした。正セッターとして活躍し、チームの3位でのプレーオフ進出に大きく貢献した。
ミロンではコーチが短い距離のトスを好んだこともあり、速いテンポの攻撃の組み立てに取り組んだ。
シーズン終盤になると、当初は苦戦したミドルブロッカー陣とのコンビネーションも合うようになり、引き出しが増えた実感があった。持ち味のサーブでも常に得点を狙い、より相手のレシーブを崩せるようになった手応えもあった。
加えて、日本代表監督にロラン・ティリ…
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