全国高校野球選手権大会は第13日の19日、阪神甲子園球場で準々決勝があり、前回大会準優勝の関東一(東東京)と春夏優勝3回の日大三(西東京)が対戦する。15年ぶりに春夏の甲子園大会で実現する「東京対決」を心待ちにするのが、かつて両チームを率いた小倉全由(まさよし)さん(68)だ。
「中立で見なきゃ」
「一緒に甲子園に出場できて良かったなと思っていたら、甲子園で当たるなんて考えたこともなかったですね」
春夏の甲子園大会で監督として歴代10位タイの通算37勝を挙げた小倉さんは、予期せぬ巡り合わせに驚きを口にする。
小倉さんは1981年に関東一の監督に就任し、87年センバツで準優勝に導いた。
97年に母校の日大三の監督となり、2001年夏と11年夏に優勝を遂げた。
23年に退任し、現在は9月に沖縄で開催されるU18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)に臨む日本代表監督を務めている。
関東一、日大三の今大会の戦いぶりは現地で見守ってきた。
関東一の米沢貴光監督(50)は教え子。日大三の部長を長年担った三木有造監督(51)とは、監督と部長として二人三脚でチーム作りをしてきた間柄だ。
それぞれに思い入れがあるだけに「中立で見なきゃいけない」と笑う。
関東一は今大会2試合で2失点の堅守を軸に小技や機動力も駆使。試合巧者ぶりを発揮している。
小倉さんは「少ないチャンスをものにする、そつのない負けない野球ができる良いチームを作っている。米沢監督は(15年就任の)臼井(健太郎)部長と組むようになってから、緻密な野球に変わってきた印象がある」と評する。
日大三は「強打の三高」の伝統を受け継ぎ、3回戦で15安打を放つなど打線が活発だ。
小倉さんは「この世代は三木監督が監督として初めて3年間見たチーム。大したもんだなと思うし、彼のカラーも出ている。三高は打って勢いを得たいし、両チーム、タイプが違う」と語る。
勝負の行方は――。
「5―3のイメージ。5点勝負になるのではないか」。好勝負を期待する。【長宗拓弥】
Comments