マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の今年の国内患者数が135人となり、過去最多を更新した。国立健康危機管理研究機構が19日、速報値を公表した。国内での致死率は27%と報告されており、厚生労働省などが注意を呼びかけている。
同機構などによると、全国の医療機関から8月10日までに報告された患者数は、過去最多だった2023年の134人を超えた。
SFTSはマダニに刺されるほか、感染した動物や人との接触でうつることもある。6~14日間の潜伏期間を経て、発熱や下痢、嘔吐(おうと)、意識障害などを発症する。亡くなった人の多くは50歳以上で、高齢者は重症化しやすいとされる。治療には抗ウイルス薬が承認されている。
国内では13年に初めて感染が確認され、西日本を中心に患者が報告されてきた。近年は東日本にも広がり、8月7日には初めて北海道でも感染が発表された。
マダニの活動は春から秋にかけて盛んになる。厚労省は、今後はどの地域でも感染の可能性があるとして、野山や草むらなどでは肌の露出を避け、虫よけ剤を適切に使うよう呼びかけている。【中村好見】
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