広島県の湯崎英彦知事(59)は19日、任期満了(11月28日)に伴う知事選に、5選を目指して立候補しない意向を周囲に伝えた。近く正式に表明する方向で調整しているとみられる。
知事選は10月23日告示、11月9日投開票の日程が決まっているが、湯崎知事はこれまで態度を明らかにしてこなかった。
県庁で報道陣の取材に応じた県議会の中本隆志議長によると、19日夕に湯崎氏から電話があり、不出馬の意向を知らされた。後継者や湯崎氏自身の引退後の予定については、言及がなかったという。
中本氏は「知事選はどうなるのか、これから先、県のかじ取りは誰がするのか頭をよぎった。とにかくびっくりして何も考えられない状況だ」と話した。湯崎氏の心情については「さまざま(な思いが)本人の中にあると思うが、分からない。正式に不出馬会見をしたときに詳しく語られるだろう」と述べた。
湯崎氏は広島市佐伯区出身。広島大付属中・高校を経て東京大法学部を卒業後、1990年に通商産業省(現・経済産業省)に入省。在職中に米スタンフォード大経営学修士を取得した。2000年に退官し、通信系ベンチャーを起業し、副社長を務めた。
09年に知事選に初当選し、現在4期目。就任当初は民間の経営感覚の導入を推進し、知事として初の育休取得や、観光地としての認知度が低いことを逆手に取った自虐的観光キャンペーン「おしい!広島県」で全国的に注目された。
平和行政では、各国の核軍縮などの取り組みを独自評価した「ひろしまレポート」を13年から毎年公表。近年は8月6日の平和記念式典で、核兵器廃絶に踏み込んだ内容のあいさつをしており、話題を呼んでいた。【川原聖史、安徳祐、西山夏奈】
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