日本で起業する外国人向けの在留資格「経営・管理」について、出入国在留管理庁は取得の要件を厳格化する方針を固めた。資本金の要件を現在の「500万円以上」から6倍の「3000万円以上」に引き上げることを検討している。他国並みに要件を引き上げ、本来の目的から外れた取得を防ぐ狙いがある。
「経営・管理」は外国人の起業を後押しし、国際競争力を高めるのが目的。「資本金500万円以上」または「2人以上の常勤職員」の要件を満たし、日本に事業所を確保すれば取得できる。最長5年の滞在や家族の帯同も可能で、何度でも更新できる。
一方で、国会では、要件が緩い日本でペーパーカンパニーを設立し、移住目的で「経営・管理」を取得する外国人が出ているとの指摘も出ていた。
20日に開かれた入管庁の有識者会議では、委員から「制度の趣旨から外れた外国人の入国を招いている。資本金要件の大幅引き上げが必要」との意見が出た。一方で「悪用防止には実態調査の強化が最も効果的」という見解や、まずは目的外で「経営・管理」を取得している外国人がどの程度いるのかを調べるべきだとの慎重な意見も示された。
入管庁は有識者の意見も踏まえてパブリックコメント(意見公募)を実施し、年内の省令改正と施行を目指す。
入管庁によると、2024年末時点の「経営・管理」による在留外国人は約4万1000人。5年間で約1万4000人増加した。他国の類似制度では、韓国が3億ウォン(約3000万円)以上、シンガポールが10万シンガポールドル(約1100万円)以上などの資本金を求めている。【巽賢司】
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