壁に5000冊ずらり 芥川賞作家・玄月さんの文学バー「リズール」

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文学バー「リズール」の壁一面には古今東西の書籍が並ぶ(ソファーに座るのは経営者、作家の玄月さん)=2025年8月8日、有本忠浩撮影
文学バー「リズール」の壁一面には古今東西の書籍が並ぶ(ソファーに座るのは経営者、作家の玄月さん)=2025年8月8日、有本忠浩撮影

 「(芥川賞作家の)玄月さんは元気だろうか」。すっかり不義理をしていた。かつて、本紙の連載「玄月さんが歩く」で、近畿の「穴場スポット」に同伴し最も膝を交えた作家。久しぶりに彼の営む文学バー「リズール」(大阪市中央区南船場4の11の9、コムズビルB1)を訪ねた。【有本忠浩】

 高級ブティック、オフィスが並ぶ御堂筋沿いから少し奥に入った一角。オープンは2011年1月。リズールは作家、辻原登さんが命名し仏語で「読書人」「精読者」の意。

 今月上旬の夕暮れ時、扉を開けた。背筋を伸ばし短髪姿のあの頃の玄月さんが迎えてくれた。互いに照れ笑いを浮かべた。約60平方メートルの店内の照明、紙やインクなどが醸すほのかな香り、カウンター奥に並ぶ酒類、壁にしつらえた本棚の5000冊など開店時とほとんど変わらない光景。

 この日も古今東西の小説や詩集、辞典類、思想・宗教書、絵画、建築、アート関連書などがページをめくれと呼びかけているかのようだった。

文学バー「リズール」入り口のシンボルマーク・巨大万年筆(玄月さんと友人の作家、吉村萬壱さんのデザイン・製作)=2025年8月8日、有本忠浩撮影
文学バー「リズール」入り口のシンボルマーク・巨大万年筆(玄月さんと友人の作家、吉村萬壱さんのデザイン・製作)=2025年8月8日、有本忠浩撮影

 玄月さんに開店時、思いを尋ねたら「本がどっさりあって、酒、会話が楽しめる空間が欲しかった。文学バーを大阪に作りたかった」と言った。背景にかつて東京の文壇バーで作家の故古井由吉さんらが行っていた朗読会に参加し「張り詰めた空気と朗読後の打ち解けた雰囲気に感動した」経験があったよう。

 玄月さん。次なる創作の構想を温めながら、今は主に店の経営と大阪芸大文芸学科教授として多忙な日々だ。店では年間を通じ各種イベントを企画。参加者が玄月さんの「お題」に沿った創作文を作り、互いに批評し合う「玄月ゼミ 公開添削演習」(2カ月に1回)▽著名な作家を招き、創作の裏話などを聞く「クリエーターズネスト(創作の巣穴)」(年1回程度、今年は12月に小川洋子さんを予定)▽文学クイズなどを交えた「リズール夏祭り」(今年は8月30日18時からの予定)など。店の営業(月~水曜定休。木・金曜19~24時、土・日曜18~24時)。詳細は電話(06・6282・7260)。

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