戦後80年・わが人生 戦争のない時代を後世に ノーベル生理学・医学賞 大隅良典さん

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=宮本明登撮影
=宮本明登撮影

 「最近、オンラインで兄姉会をやっててね。戦中、戦後の家族の話を聞く機会がありました。兄貴が92歳だから伝え残しておく時期と思ったのかな。知らなかった話が多くあって……」

 ノーベル賞学者の大隅良典さん(80)が意外な話題から語り始めた。

 細胞が自らを食べて生き延びる自食作用「オートファジー」の仕組みを解き明かし、2016年の生理学・医学賞に輝いた分子生物学の泰斗だ。地道に顕微鏡をのぞき、酵母を観察して見いだした細胞のリサイクル機構は、今では人類のがん治療や老化抑制への応用が期待されている。受賞する前は度々取材させてもらったが、栄誉教授を務める東京科学大の研究室(横浜市)を10年ぶりに訪ねると、初耳の話を聞かせてくれた。

 大隅さんは終戦の半年前に福岡市で生まれた。兄と2人の姉がいる末っ子だ。学者一家で、父の芳雄さんは九州大工学部の教授を務めた採鉱学者。母方の祖父・長沼賢海さんは国史学者で戦前の教科書も著した。兄姉で最年長となる12歳上の和雄さんも東京女子大教授を務めた歴史学者だ。兄姉は全員健在で定期的に会食していたが、年齢や体調を考慮して近年はオンラインで集まっている。

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