
大雨で氾濫した桧木内川流域の秋田県仙北市では21日、住民らが浸水した家屋の中に入った泥を取り除くなど片付けに追われた。被害が大きかった現場は、毎年2月に開かれる恒例行事「上桧木内の紙風船上げ」の会場となる市の施設「紙風船館」周辺も含まれる。泥をかき出す重機が不足し、住民からは「人手が足りない」といった声も上がった。
桧木内川は水位が増し、濁流が流れていた。橋には倒れた草木が引っかかったままで、流域の田んぼの稲は倒されていた。
浸水した紙風船館は臨時休館した。関係者の40代男性は「次回の紙風船上げの開催の可能性も含め、まだ何も見通せていない状況」と語った。館の隣にあった売店は建物ごと150メートルほど流されていた。

周辺の民家は1メートル近く浸水した。家具類の多くが泥で汚れたため、親類らが駆けつけ、片付けを手伝っていた。清掃作業中の男性は「この辺は高齢者夫婦の世帯も少なくなく、ボランティアが運ぶのを手伝ってくれるときっと助かるはず」と話した。
近所に住む佐々木はつ子さん(67)は、働いていた紙風船館の売店が流された。「一体これからどう片付けたらいいのか。この地域の住民は団結力があるのでみんなで再建していきたい」と語った。
秋田県によると、19日からの大雨によって21日時点で大館市や鹿角市、北秋田市、仙北市の計17棟で床上や床下浸水の被害が確認され、仙北市の上桧木内地区の70戸が断水している。【工藤哲】
Comments