アフリカ開発会議(TICAD)に出席するため訪日中の国際移住機関(IOM)のエイミー・ポープ事務局長が20日、横浜市内で毎日新聞の取材に応じた。少子高齢化と深刻な労働力不足に直面する日本と、若年層の雇用創出が課題のアフリカ諸国のニーズは一致していると述べ、「働き手の公正な待遇と報酬を確保し、コミュニティーの一員として参加できる環境を整えることが不可欠だ」と訴えた。
IOMは1951年に設立され、国際的な人の移住に関わる問題を扱う国連の専門機関。ポープ氏は2023年10月に女性として初めて事務局長に就任した。
ポープ氏は、日本が外国人労働者の受け入れを巡り、送り出し国と良好な関係を築くには「戦略的な関与が必要」と指摘。国内で労働力不足が見込まれる地域を特定して受け入れ環境を整えるとともに、働き手の能力開発を進めるべきだとした。
また、受け入れの大きな課題として「言葉の壁」を挙げ、来日前から日本語教育を実施することや、採用の過程で地方自治体や学校、医療機関と連携することの重要性を強調した。
近年、排外主義の高まりを背景に欧州諸国が不法移民対策の強化を相次いで打ち出しているが、ポープ氏は「日本は島国であり、同じような課題は抱えていない」との認識を示した。
さらに、外国人労働者の多くは必ずしも長期的な定住を望んでいるわけではなく、母国への送金や学んだスキルの還元を目的としていると指摘。日本と同様の社会課題を抱える国々は、より良い就労機会を提供するため競争しており「政府だけで移民問題を考えると将来的な緊張や衝突を生みかねない。外国人労働者から選ばれるためには、彼らの来日を歓迎し、社会全体でアプローチすべきだ」と強調した。【飯田憲】
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