中国の習近平国家主席は21日、西部チベット自治区ラサで開かれた自治区成立60周年の記念式典に出席した。ロイター通信によると、習氏の自治区訪問は2021年7月以来。中国の最高指導者が10年ごとに開かれるラサでの式典に出席するのは初めてで、中国によるチベット統治の「正当性」を国内外にアピールする狙いがあるとみられる。
国営新華社通信によると、ポタラ宮広場で開かれた式典には約2万人が出席した。習氏はあいさつせず、中国共産党序列第4位の王滬寧(おうこねい)人民政治協商会議主席が演説した。「過去60年にわたり、中央政府などはチベットに力強い支援と援助を行ってきた」とアピールし「チベットは古来、中国の神聖な領土の一部だ」と強調した。
中国は、建国翌年の1950年、事実上独立を保っていたチベットに軍を進駐させ、51年に中国の一部とする「17条協定」を締結。その後、民衆が蜂起した59年のチベット動乱を鎮圧し、最高指導者ダライ・ラマ14世がインドへ逃れて亡命政府を樹立すると、65年にチベット自治区を成立させた。
中国はチベット自治区の経済発展に注力する一方、宗教や文化、言語などの面で「中国化」を進めている。少数民族に対する漢族への同化政策だとの批判も受けている。【北京・畠山哲郎】
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