シャンプーをするのもドアを開けるのでさえも左肘に痛みが走った。
「このまま、引退してしまうのか……」
そんな恐怖と闘ってきた投手が、第96回都市対抗大会に臨む大阪市・日本生命の5年目左腕・武次春哉（あつや）投手（26）だ。3年前、損傷した肘の靱帯（じんたい）を修復するトミー・ジョン手術を受けた。
地道なリハビリを経て昨秋に復帰。今季は初めて都市対抗予選のマウンドに上がり、代表権獲得に貢献した。
復活までの軌跡を追った。
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入社後に崩れた青写真
「絶対に2年でプロに行く。そんな強い思いで入社しました」
兵庫・西脇工高から進んだ関西国際大で身長165センチの左腕は躍動した。2年時には大学日本一を懸けた明治神宮大会で2試合連続で完投勝ちし、4強入りに導いた。阪神大学リーグでは最優秀投手賞に3度も輝いた。
しかし、プロ志望届を出すことはなかった。
「正直、めちゃくちゃプロに行きたかったです。だけど、まだそこまでの自信はありませんでした」
プロ入りを視野に入れて、大学時代にオープン戦で何度も対戦した社会人の名門、日本生命入りを希望し、入社した。
描いた青写真はすぐに崩れた。
左…
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