「うそでも認めて」 人質司法で迫られる「迎合」「信念」の二者択一

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相嶋静夫さんの遺影を前に当時の無念さを語る妻美代子さん=静岡県富士宮市で2023年12月13日午後4時4分、遠藤浩二撮影
相嶋静夫さんの遺影を前に当時の無念さを語る妻美代子さん=静岡県富士宮市で2023年12月13日午後4時4分、遠藤浩二撮影

 もし身に覚えのない罪で逮捕・起訴され、捜査機関との認識に隔たりがある時。あなたならどう対処しますか。

 迎合するのか。それとも信念を曲げずに闘うのか。

 実際に起きた二つのケースから、否認や黙秘をすれば保釈が簡単に認められない「人質司法」の問題点を考えます。

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「認めさせて」妻からの懇願

 「十分無罪のチャンスはある」

 2023年の年明け、汚職事件で被告となった男性を弁護人は懸命に励ましていた。

 場所は勾留先の東京拘置所。男性は年末年始をここで過ごした。

 居室は暖房がきかず、防寒具の差し入れもなかなか認められなかった。

 「絶対に無罪」と主張していたはずの男性は気弱になっていた。

 「寒さが気力を削っている」。そう弁護人には映った。

 男性が逮捕されたのは約2カ月半前。保釈請求をしたが、東京地裁に却下されていた。

 「勝てるとしても1年以上かかりますよね」

 男性はこのまま無罪主張を続けることが「正解」なのか迷い始めていた。

 「認めさせて、保釈させてほしい」

 弁護人は男性の妻からは、保釈を最優先するようにとも依頼されていた。

 男性と話し合った末、2回目の保釈を請求した。結局、無罪主張は撤回しなかった。

 ただ、保釈が認められなければ、闘いの場から降りるとも2人の間で約束した。

「実質的なペナルティー」

 被告だった男性は広告大手「ADKホールディングス」前社長、植野伸一氏(71)だ。

 東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で東京地検特捜部に逮捕され…

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