
その戦いぶりは、確かな「復活」を印象づけた。
全国高校野球選手権大会で、16年ぶりに4強に進出した県岐阜商。近年は甲子園大会には出場するものの、なかなか勝ち進めない状況が続いていた。
OBらの証言から、今大会の躍進に至るまでの足跡をたどった。
「選手との会話ができていた」
「選手と一からコミュニケーションを取って、信頼関係を築いていきたい。結果が出るまで、少し時間がかかるかもしれません」
2024年9月。就任したばかりの藤井潤作監督(53)は、現在OB委員長を務める石榑(いしぐれ)淳さん(64)に打ち明けた。
石榑さんは、県岐阜商が09年夏の甲子園で4強入りした際に野球部の部長を務めていた。その時に藤井監督が副部長だった縁で、監督就任を打診した。
「当時から(藤井監督は)選手との会話がしっかりできていた。練習の意図を一つ一つ、丁寧に伝えていました。指導の現場も分かっていますから」
県岐阜商の監督はOBが務めることが多かったが、藤井監督は市岐阜商の卒業生。さらに、これまで高校野球界で実績を残してきたOBの鍛治舎(かじしゃ)巧前監督(74)の後を受けての就任だった。
「もちろん、プレッシャーは…
Comments