/159 辻村深月 画 佐伯佳美

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 凌生が自分から言う。

「あのオレ、右足に結構がっつりタトゥー入ってるんですけど、それ、大丈夫ですか。ファッションで入れただけのヤツで、仕事中もちゃんと長ズボンはきますけど」

「そうそう。それも昭美ちゃんから聞いたよ。どれ? 後で見せてもらってもいい?」

 真面目で堅そうな雰囲気の常務の方がまず言ったので驚いた。拍子抜けした気分で、「いいですけど……」と答えると、院長が微笑(ほほえ)んで言った。

「タトゥー入ってるから驚くかもしれないけど、いい子だからって言われたよ。昭美ちゃんの言い方だと、なんかもう全身に入ってるみたいな言い方だったから、さっき、やってきた時に、なあんだ、顔とかにはなしかぁって、事務長とちょっと話しちゃった」

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