自宅の備蓄「十分」わずか2% サントリーが“買い占め”防止後押し

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「ちょ備蓄」を呼びかける「サントリー天然水」の売り場例。水は災害時に必要不可欠な存在となる=東京都港区で2025年8月22日、佐久間一輝撮影
「ちょ備蓄」を呼びかける「サントリー天然水」の売り場例。水は災害時に必要不可欠な存在となる=東京都港区で2025年8月22日、佐久間一輝撮影

 日ごろの買い物でちょっとずつ備えよう――。サントリー食品インターナショナルは22日、防災備蓄の啓発活動「ちょ備蓄」プロジェクトを始めた。水などの備蓄品の準備が不足していると感じる人が災害発生を機に「買い占め」に走るのを防ぐ観点から、消費者に備蓄品を少しずつ買いそろえてもらう狙いがある。

 サントリーは日常の買い物の際に無理なく備蓄を意識できるよう、スーパーやコンビニなどの店頭で備蓄向け商品を手に取ってもらいやすい売り場作りを提案していく。自社の飲料だけでなく、カップ麺や菓子、体を拭くシートなども並べて「ちょ備蓄」を促す。

「ちょ備蓄」を呼びかけるサントリー食品インターナショナルの溝本将洋さん(左)と、兵庫県立大の木村玲欧教授=東京都港区で2025年8月22日、サントリー食品インターナショナル提供
「ちょ備蓄」を呼びかけるサントリー食品インターナショナルの溝本将洋さん(左)と、兵庫県立大の木村玲欧教授=東京都港区で2025年8月22日、サントリー食品インターナショナル提供

 ブランドマーケティング本部の溝本将洋部長は「いつも使っているものをちょっと多めに買っておく。何気ない日常の行動が実は防災備蓄につながる。『ちょ備蓄』を通じ、防災備蓄を身近に感じてもらいたい」と話した。

 同社が実施した実態調査では、防災用の備蓄品に不安を抱える人が多い実態が浮かび上がった。

 調査は7月11~24日、全国の20~60代の男女2301人にインターネットで実施。「日用品などを多めに買い置きする習慣がある」と答えた人は73・1%に上った一方で、自宅の備蓄が「十分にある」と答えたのは2・9%にとどまった。

「ちょ備蓄」を呼びかける売り場例。水だけでなく、日用品や菓子なども備蓄に有効だ=東京都港区で2025年8月22日、佐久間一輝撮影
「ちょ備蓄」を呼びかける売り場例。水だけでなく、日用品や菓子なども備蓄に有効だ=東京都港区で2025年8月22日、佐久間一輝撮影

 また「備蓄が足りなくなることに不安を感じる」と回答したのは81・5%。災害や品薄などのニュースや交流サイト(SNS)に触発され、急いで買いに出た経験がある人は32・4%と約3人に1人に上った。

 自分の備えへの不安や焦りから多くの人が「緊急買い」をして商品棚が空になって供給が滞るといった混乱が生じるケースが社会問題化している。

 サントリーによると、2025年7~8月に新潟県で水不足による取水制限などが起きた際、主力商品の「サントリー天然水」(2リットル入り)の新潟地域の受注量は前週比で約3倍に増えたという。

 防災心理学に詳しい兵庫県立大の木村玲欧(れお)教授は「(備蓄を)特別なもの、難しいものと思い込んでしまい、日常の買い置きと防災備蓄を切り分けてしまうことが大きな課題だ」と指摘した上で、「備蓄を日常のものとして捉え直して意識改革や行動変容を促すことは意義深い」と強調した。【佐久間一輝】

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