光免疫療法とがん治療薬の併用 最終治験を開始 400人超対象 

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光免疫療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用治療について説明する京都府立医科大付属病院の平野滋教授=京都市下京区で2025年8月22日午後2時18分、中村園子撮影 拡大
光免疫療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用治療について説明する京都府立医科大付属病院の平野滋教授=京都市下京区で2025年8月22日午後2時18分、中村園子撮影

 京都府立医科大付属病院と楽天メディカル(東京都)は22日、光を当ててがん細胞だけを壊す「光免疫療法」と、がん治療薬の一種「免疫チェックポイント阻害薬」の投与を併用する治療法の最終段階の臨床試験(治験)を開始したと発表した。これまでの治験では併用治療による重い有害事象は確認されておらず、がんが縮小・消滅した患者もいた。最終治験は国内外の400人以上の患者を対象に実施し、有効性や安全性を評価する。

 光免疫療法は、がん細胞だけにくっつく抗体と、特殊な光に反応する物質を組み合わせた薬剤を点滴投与し、光を照射することでがん細胞だけを破壊する治療法。国内では年間4万7000人が発症するとされる頭頸(とうけい)部がんの保険診療が始まっている。一方の免疫チェックポイント阻害薬は、免疫細胞のブレーキを解除し、がん細胞への攻撃を高める治療薬。「オプジーボ」などさまざまな薬剤が実用化されている。

 これまでの治験は、頭頸部がんの9割以上を占める扁平(へんぺい)上皮がんが再発・転移した患者19人を対象に実施。6人のがんが縮小し、うち4人は完全に消えた。いずれも死亡などの重い有害事象はなかった。

 最終治験は米国や台湾でも始まっており、日本では東京医科大病院や愛知県がんセンターなど5カ所の医療機関で行う。期間は2028年9月までの予定。

 記者会見で、京都府立医科大付属病院の平野滋教授は「頭頸部がんを巡る治療は進んでいるが、効果の面でまだ課題がある。光免疫療法と免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせることで、がんの治療効果や生存率が上がってほしい」と話した。【中村園子】

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