
今、ユーチューブを視聴したことがない人はまれだろう。世界最大規模の動画共有サービスであり、すでに社会インフラの一部になっている。
だが、同時にこの空間は人を不当に傷つけ、信頼をおとしめる場にもなっていることはもっと強調されていい。
先日、石丸伸二氏が市長を務めていた広島県安芸高田市の市議について記事を書いた(「『犬笛』から2年、今もネット中傷 石丸伸二氏去った街で消えぬ余波」)。
「反石丸」の代表格とみられていたこの市議の「切り抜き動画」が、今も大量にアップされていることを指摘したものだ。
この市議の名前をパソコンやスマホで検索すれば、「ばかすぎる 意味不明な発言を繰り返す××議員」「××議員 アホ質問」「ついに壊れた××議員 市長にボコられ突然笑い出す」(××はいずれもこの市議の実名)などのタイトルの動画がずらりと並ぶ。
それらはTikTok(ティックトック)なども含め少なくとも400本以上あった。
いずれもナレーションやテロップによって過剰なまでに市議をおとしめる内容に仕立て上げられている。
ただ、それらを除けば市長と市議のやり取りが流されるだけであり、冷静に視聴すれば、市議は議員としての職務を果たすべく、市長に丁寧に質問をしていることが分かるだろう。
むしろ、石丸氏が市議の質問に正面から答えず、しばしば論点をすり替えていることが明白になるはずだ。
それでも、動画のコメント欄は、石丸氏の対応を称賛し、市議を批判する内容のオンパレードとなっている。
市議に対しては誹謗(ひぼう)中傷とも言える内容が多く、見るに堪えないレベルだ。
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私はこれまで、石丸氏が立ち上げた地域政党「再生の道」で活動する多くのボランティアに会ってきた。
石丸ファンであれば、前出の市議のことを知らない人はいない。この市議の切り抜き動画をみて、石丸氏に心酔するようになったと話すボランティアさえ…
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