全日本学生写真連盟 「広島デー」に光 プリント52点 東京・渋谷で展覧会

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 壁にかかったモノクロームの写真群。ざらりとした質感の街や群衆の姿に交じり、少女や白い花、原爆ドームといった被写体が並ぶ。一枚一枚に撮影者の名はない。これら全日本学生写真連盟(全日)の作品は、「個」の集合が響かせる「群」の声だ。

 全日は1952年、全国の高校・大学の写真部を中心に組織された。その有志メンバー総勢50人以上が参加した撮影行動「8・6広島デー」(68~71年)に光を当てた展覧会が、東京都渋谷区のギャラリーMEMで開かれている。72年刊行の写真集『ヒロシマ・広島・hírou−ʃímə』に収録されたカットの中から、印刷の元となった貴重なプリント52点を関連資料と共に展示している。

 全日は、写真評論家の福島辰夫(28~2017年)が実質的な指導者だった。写真史などが専門の田尻歩・東京理科大講師によると、65年以降、全日の改革に乗り出した福島は、現実や世界をいかに撮影すべきかという「対象の問題」に向き合った。学生闘争が激化する時代にあって「本当の危機は闘争の現場にはなく、別のところにある」と福島が述べ、日本の近代化の矛盾を象徴する場として広島を提案したことから広島デーは始まっ…

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