7月の参院選を巡り、自民党公認候補への投票の見返りにパチンコ店運営会社が従業員に報酬を約束したとされる買収事件は、特定候補に票を投じた「証し」として候補者名を記入した投票用紙を撮影させる大胆な手口だったとされる。投票所での撮影行為は違法ではないのか。
投票所に訪れたパチンコ店の従業員らは、記載台で比例代表の用紙に候補者名を記入すると、スマートフォンで撮影。画像データを無料通信アプリ「LINE(ライン)」で店長に送っていたとされる。
捜査関係者によると、一部の従業員は撮影を試みた際、投票所を運営する選挙事務従事者に制止されたという。代わりに「投票済証明書」を入手し、その写真を送ったという。
総務省選挙課の担当者は「個別の事案について判断する立場にない」と前置きした上で、公職選挙法には投票所内で撮影を禁止する規定はないと説明する。
ただ、公選法は投票所内での討論や投票に関する協議など秩序を乱す人物がいた場合、投票管理者が制止したり、従わない場合は退出させたりできると定めている。撮影した写真に他人の様子が写り込む可能性もあり、「投票の秘密」への配慮も必要となるとしている。【山本康介】
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