DeNA―阪神(27日・横浜)
経歴がここまで異色ずくめの人も珍しい。国立大卒の元北海道北広島市職員。今年7月に支配下登録されたばかりの阪神・早川太貴(だいき)がプロ初先発し、5回無失点で初勝利を手にした。
野球エリートとはほど遠い道のりを歩いてきた右腕だ。北海道立大麻(おおあさ)高、国立の小樽商大と、強豪とは言えない学校の出身。卒業後は、社会人の硬式クラブチームの「ウイン北広島」に所属したほか、軟式チームとの“二刀流”でプレーした。
2023年秋にはドラフト候補とも言われたが指名漏れした。
しかし、夢をあきらめなかった。翌年からウエスタンリーグに新規参入することが決まっていた、くふうハヤテに入団。24年シーズンに主力として活躍すると、くふうハヤテとしては初のドラフト指名選手として、阪神から育成3位で指名を受け、入団した。
そして、ルーキーイヤーの今季。2軍で主力として踏ん張り、念願の支配下選手となった。
この日は「緊張も感じながら自分の思い描いたような投球はできませんでしたが、とにかく腕を振ってゾーンで勝負することを意識しました」という早川。140キロ台後半の速球を支えに必死で77球を投げた。時には失投もあったが、味方の好守にも助けられ、「粘りのピッチングはできたと思います」と手応えを口にした。
猛暑が続き、選手たちが疲弊する中、早川のようなフレッシュな存在がチャンスを生かすところが、阪神が首位を独走するゆえんの一つだろう。【岸本悠】
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