「一般災害と同じ水準は…」 川内原発の設置許可取り消し2審も棄却

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九州電力川内原発1、2号機の設置変更許可取り消しを国に求めた訴訟で「不当判決」などと掲げる原告ら=福岡市中央区の福岡高裁前で2025年8月27日午後2時7分、北山夏帆撮影 拡大
九州電力川内原発1、2号機の設置変更許可取り消しを国に求めた訴訟で「不当判決」などと掲げる原告ら=福岡市中央区の福岡高裁前で2025年8月27日午後2時7分、北山夏帆撮影

 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が新規制基準に適合するとした国の判断は火山リスクの検討が不十分として、鹿児島県などの住民ら約30人が原子力規制委員会の設置変更許可を取り消すよう求めた行政訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は27日、取り消しを認めなかった2019年6月の1審・福岡地裁判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。松田典浩裁判長は「審査基準は合理性があり、判断の過程に看過しがたい過誤、欠落があったとは認められない」と述べた。

 今回の判決を識者はどう見たのか。

 九州大の下司信夫教授(火山学)は「噴火の時期や規模は現時点での火山学では予測できない。どれほど低頻度の災害をリスクと考えるかは社会によるが、破局的噴火を想定外の災害とせず、火砕流が起きた場合の影響などについて、判決はもっと真剣に検討すべきだった」と述べた。

九州電力川内原発 拡大
九州電力川内原発

 早稲田大大学院の下山憲治教授(行政法)は「一般の災害対策と、原発の安全対策を同じ水準で考えるのは妥当ではない。原発にはより高い安全性が求められている。原子炉等規制法は大規模な自然災害を想定して規制すると定め、原子力規制委設置法も事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないとしている。こうした予防原則の考え方が判決で考慮されたのかは疑問が残る」と話した。【森永亨】

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