東欧の旧ソ連構成国モルドバが27日、独立記念日を迎え、マクロン仏大統領とメルツ独首相が首都キシナウを訪れた。モルドバは人口約250万人の小国だが、ウクライナに隣接する地政学上の要衝。9月28日に議会選(1院制、定数101)を控える中、欧州連合(EU)加盟を目指す現政権を後押しし、親露派を支援するロシアをけん制する狙いとみられる。
「独立は保証されたものではない。我々の選択次第だ」。ロイター通信などによると、サンドゥ大統領は27日、こう呼びかけた。
モルドバは旧ソ連崩壊に伴い1991年に独立。親欧米と親露政権が交代してきたが親欧米のサンドゥ政権下では2030年までのEU加盟を目指している。議会選は、サンドゥ氏率いる与党「行動と連帯」が過半数を維持できるかが焦点となる。
サンドゥ政権は親欧米路線の継続を訴える一方、ロシアが偽情報の拡散などで選挙に干渉しようとしていると批判している。
マクロン氏もキシナウで「ロシアは『欧州は(ウクライナでの)戦争を長引かせようとしており、EUは人々を抑圧する』とのプロパガンダを流しているが、それはうそだ。EUはソ連とは全く違う」と強調した。
メルツ氏はモルドバのEU加盟について「扉は開かれている」と全面支持した。独仏とともに訪れたポーランドのトゥスク首相も「独立し、安全なモルドバなしにEUの安全はない」と述べた。
モルドバはウクライナとの国境沿いに親露派勢力が実効支配し、ロシア軍が駐留する沿ドニエストル地方を抱える。ロシアによるウクライナ侵攻以降、地政学上の重要性が高まっている。【ブリュッセル岡大介】
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