
12歳を待っていたのは、想像とは全く違う、息苦しい学校生活だった。
悠太さん(仮名)は2019年春、晴れて第1志望の私立中に合格した。
自由な校風のもと、中高6年間、のびのびと好きなことや勉強に打ち込もう――。希望を胸に入学したが、中3の始業式前に我慢の糸がぷつんと切れた。
「もう学校に行きたくない」
厳しい中学受験を乗り越えて入学する私立中で今、不登校になる生徒が急増している。
悠太さんを追い詰めたものは何だったのか。
<主な内容>
・自由な校風、グローバル教育に憧れ
・成績順に張り出し 「圧」かける教師
・「このままじゃ未来はないぞ」
・始業式前に母に打ち明けると……
・急増する不登校 どう対応する?
「令和のリアル 中学受験」第27部は9月下旬に公開予定です。
自由な校風のはずが
悠太さんは幼少期に父親の転勤で海外で暮らした経験がある。
小学5年生のころに中学受験に興味を持った。東京都内の私立男子校の入学説明会に行ってみると、自由な校風で、英語教育や海外研修などグローバル教育にも力を入れているという。
「自分と同じように海外に興味のある子がいる環境は合っているかもしれない」
東大などの難関大にも毎年合格者を出し、偏差値は60台の学校だ。受験を決め、大手の学習塾に週3日通った。学校では習わない知識を学べる受験勉強は面白かった。
19年2月、晴れて第1志望に合格。「自由な雰囲気の中で、好きなことや部活にも取り組もう。勉強もわからないところを先生たちにサポートしてもらいながら続けよう」と思い描いていた。
全員の名前が成績順に掲示
だが、入学早々、そのイメージは打ち砕かれた。
4月下旬に校内テストが行われ、教室の壁には学年1位から最下位まで生徒全員の名前が張り出されたのだ。
自身は中位の成績だったが…
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