ロシアのカムチャツカ半島付近を震源とする地震の影響で、北海道内に出されていた津波警報は30日夜、津波注意報に切り替わった。警報の発表から一夜明けた31日朝、震源に近い根室市では、港の防潮堤の一部が開門され、漁協の活動が再開されるなど、徐々に暮らしは平常に戻りつつある。
根室市では30日に避難指示が出され、市民は高台に避難。花咲港では最大高さ80センチの津波が観測された。
警報が30日夜に注意報に切り替わり、津波の襲来に備えて閉門されていた花咲港の防潮堤の一部は31日朝、開門された。市内の2漁協では31日早朝に競りが行われ、根室漁協花咲水産物地方卸売市場では漁船3隻が水揚げしたマダラが次々に競り落とされた。
市の経済活動は徐々に平静を取り戻しつつある。
北方領土洋上慰霊は中止
一方、津波の影響で延期された北方領土の元島民らによる第3回北方領土洋上慰霊は中止となった。
市内の千島会館には、洋上慰霊に参加する予定だった元島民2世ら18人を含めた関係者約40人が31日朝の出港を期待して集まった。
しかし、津波注意報発令中は洋上慰霊に使用する船舶「えとぴりか」が岸壁に接岸できないため、参加者に中止が知らされた。
中止となった洋上慰霊の代わりに慰霊式が行われ、国後島2世で千島歯舞諸島居住者連盟の野潟龍彦副理事長(73)は「一日も早くお墓参りができることを願ってやみません」と追悼の辞を述べ、参列者者が古里の島々に眠る御霊(みたま)に菊の花を献花した。【本間浩昭】
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