
パレスチナ自治区ガザ地区で、子どもたちが飢えに命を奪われている。
食料不足が限界に近づき、母乳も枯れた母親は、絶望の声を上げた。「このままでは死んでしまう」と。
栄養失調で死亡した人は150人を超え、その6割が子どもだ。国連関係者は「飢餓が爆発的に広がる」と強い危機感を示す。
飢えは静かに、しかし確実に命を削り続けている。
生まれて間もない赤ん坊の体重は、本来あるべき重さを大きく下回っていた。
母親の腕の中で、かろうじて命をつないでいた――。
ミルクが消えた日
7月下旬、ガザ市にある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の診療所。生後7カ月のムハンマド・アシュカルちゃんは、母親に抱かれながら弱々しく栄養剤を口にしていた。
本来7キロほどあるはずの体重は5・5キロまで減り、痩せ細った腕に巻かれた測定バンドは栄養失調を示す12・5センチ未満だった。
「粉ミルクが手に入らない。私も1日1食がやっとで、母乳が出なくなった。このままでは、この子の命が持ちません」
母親のソアードさん(38)は顔をゆがめて訴えた。
2023年10月の戦闘開始以降、一家は7度も避難を繰り返した。空爆で自宅を失い、現在はテント暮らしだ。
ムハンマドちゃんに持病はなかったが、ミルクが尽きてから体重は急激に減少した。
痩せていく子どもたち
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