「坪田譲治文学賞」が創設40年を迎えたことを記念し、主催する岡山市は7月15日、賞の選考委員を長年務める作家の五木寛之さんに「岡山市栄誉表彰」を贈った。東京都内で同日開かれた贈呈式には、歴代受賞者や関係者らが多く参加し表彰を祝った。同市の栄誉表彰は五木さんで3人目。
五木さんは贈呈式で「坪田譲治さんは7月7日に92歳で亡くなって...
クラシック音楽専用ホールで文楽を――。箏(こと)奏者の片岡リサがプロデュースする「和のいずみ」第3回公演が30日、住友生命いずみホール(大阪市)で開かれる。今回がシリーズ企画の最終回。文楽の名作「壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)」より「阿古屋琴責(あこやことぜめ)の段」を披露する。
片岡は大阪音大などで研さんを積み、西洋楽器...
高さ約7メートル。2階から3階の吹き抜けの壁に、上半身裸で、やはり裸の赤ん坊を抱いた父親の姿が描かれている。父はこの絵画を描いた現代美術家のチェン・フェイさん。腕に抱かれた子どもは、チェンさんの娘である。
チェンさんは1983年、中国・山西省生まれ。現在は北京を拠点に活動する現代美術作家だ。日常生活に残る時間の断片を捉えて再構成...
名探偵の金田一耕助を主人公にした推理小説で知られる作家の横溝正史(1902~81年)が、14歳の時に雑誌に応募した全集未収録の童話「三つの林檎(りんご)」が見つかったことが分かった。専門家は「横溝が残したフィクション作品の中で最も古く、14歳にして既に才能が開花している。作家になるべくして生まれたと思わせる作品だ」とコメントしてい...
山本が言う。
「見ていただけたら、気に入っていただけるかもしれません。コンビニがすぐ近くにあって――」
山本が熱心に勧める声が頭に入ってこない。資料に見える駅徒歩十九分の文字を見て、だからだろ、と毒づきたくなる。条件がいい分、駅が遠いのだ。
「いいよ。もっかい、ちゃんと資料見て、また連絡する。内見は――」
内見も一人でいい、と...
万博開催中の大阪で、多様な台湾の文化に触れる体験を――。台湾文化部(文化省)と台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは20日まで、大阪市内の各会場で国際交流イベント「We TAIWAN 台湾文化 in 大阪・関西万博」を開催している。
視覚芸術や舞台、映画、文学、工芸、マルシェ、信仰などさまざまなジャンルで計129の展示や公演、...
大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーで、シンボル「大屋根リング」の設計者でもある建築家、藤本壮介さんの初の大規模個展「藤本壮介の建築:原初・未来・森」が東京・六本木の森美術館で開催されている。約30年にわたる活動を網羅的に紹介し、藤本さんの考える建築やその思考の過程、未来の社会像を体感できる。
藤本さんは1971年、北海道...
今でこそ俳句の大会は全国にたくさんあり、欠かせないのはそこに発表、表彰される募集句である。私もいくつかの選考委員をしているが、その中でも面白いのはアプリ「俳句てふてふ」の「全国景勝地俳句コンテスト」である。
大会のほとんどは自由題とか季題が出されたり、最近では言葉などが出る題詠だが、同コンテストは「山岳」「渓谷」「河川」「湖沼」...
ふるさとの駅のホームに立つ父は水面(みなも)をわたる光のように 京都市 右手のハンマー
<評>水面をわたる光のような父は存在の核心を見せた。生のうちにいくたびもない出会いは詩にふさわしい。
心臓を磁石のようにふるわせて夜の浅瀬に鳥交りたり 加古川市 石村まい
<評>空を飛ぶ鳥が地上の浅瀬で交わることの意味が心臓をふるわせる。
無秩序...
団塊のわれが信じた<がんばれ>は時には人間(ひと)を殺しもしたり 東京 池崎冨実夫
<評>がむしゃらに働き頑張ることをみんなが善と信じた時代。過労死という言葉さえなかった時代の犠牲者はどれほど。
主婦という身の頼りなさ満月も自ら光る術(すべ)を持たない 東海市 中山あゆみ
<評>専業主婦が少なくなった時代。それを選ぶ理由がそれぞれあ...