
イスラエル軍の激しい攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区で、保育器の不足が深刻化している。国際NGO「国境なき医師団」(MSF)などによると、1台の保育器に4~5人の赤ちゃんを押し込まざるを得ない状況が続き、感染症の拡大が強く懸念されている。
保育器は、早産や先天的な疾患を持つ赤ちゃんを守るために欠かせない医療機器だ。MSFなどによると、ガザ北部では病院や医療施設への攻撃により、かつて126台あった保育器が36台にまで減少。多くの新生児が適切な治療を受けられていない。
限られた機器を複数の赤ちゃんで共有せざるを得ない状況の中、7月中旬には燃料不足による停電で酸素供給が停止し、新生児が命を落とすという痛ましい事態も起きた。
ガザでは、深刻な飢餓と医療崩壊により、妊婦の健康状態も悪化。未熟児の出生が増加する一方で、妊娠中に検診を受けられないケースも多く、本来なら救えたはずの命が日々失われている。【カイロ金子淳】
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