石灰石が主原料の新素材を開発・製造する新興企業「TBM」(東京都千代田区)の製品開発データを不正に持ち出したとして、警視庁生活経済課は、同社の幹部だった男性(57)ら元社員2人を不正競争防止法違反(営業秘密領得)の疑いで1日に書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。
同社は、プラスチックや紙の代替となる素材「LIMEX(ライメックス)」を主力商品とする。創業10年以内で企業価値10億ドル以上の非上場ベンチャー企業を指す「ユニコーン企業」として知られていた。
捜査関係者によると、書類送検されるのは、同社の元次世代事業推進室長の男性と元社員の男性(34)。
書類送検容疑は共謀して2023年6月、同社が持つ、二酸化炭素を回収して燃料や資源に変える「カーボンリサイクル」の技術に関する分析データを、会社から貸与されているパソコンから、外部のサーバーにアップロードして保存したとしている。
任意の事情聴取に対し、元室長は容疑をおおむね認め、元社員は認めているという。
同社は23年9月、元室長が出願準備中の特許に関する資料など営業秘密に当たる情報を無断で外部のデータベースに移動させ、私的に利用しようとしたとして、同8月に懲戒解雇処分にしたと発表。元室長が転職や独立して事業をすることを計画し、他社と多数回、面談や連絡をして社外秘の情報を伝えたとしていた。
TBMは11年設立で、社員数約300人。23年には、経済産業省が潜在力の高いスタートアップ企業を集中して支援するプログラム「J―Startup Impact」に選定された。【菅野蘭】
Comments