高校野球にもDH制 残されたセ・リーグは… 選手やコーチの声

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=曽根田和久撮影

 高校野球が来春から指名打者(DH)制の導入を決めたことで、がぜん注目を集めそうなのが、DH制を採用していないプロ野球セ・リーグの動向だ。

 同じプロ野球のパ・リーグは従前からDH制で、東京六大学野球、関西学生野球もついに来春リーグ戦からのDH制導入を決めた。社会人野球や独立リーグも採用しており、セ・リーグは外堀を埋められたような形だ。

 DH制は1973年、米大リーグのアメリカン・リーグが導入したのが始まり。当時は投高打低で、ア・リーグはナショナル・リーグに比べて観客動員数が低迷していた。このため、名物オーナーとして知られていた、アスレチックスのフィンリー氏が「もっと点が入るようにして盛り上げよう」と提唱し、採用されたという。

 日本ではパ・リーグが75年に導入。大リーグでは、2022年にナ・リーグでも採用された。投打の「二刀流」で活躍する大谷翔平選手(ドジャース)の登場によって、先発投手とDHを兼任する選手が、降板後もDHとして出場できる、いわゆる「大谷ルール」も採用された。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などの国際大会でもDH制が導入されている。

「二つのリーグで違う制度は違和感」

 セ・リーグにもDH制導入を求める声は以前からあった。日本野球機構(NPB)の榊原定征コミッショナーは「二つのリーグで制度が違うのは違和感がある」と、導入に前向きな姿勢を示している。

 現場でも関心は高い。現在、労働組合・日本プロ野球選手会の会長を務める広島の会沢翼選手は「選手にはいろんな意見があった。今年12月の選手会総会で、協議の段階になってくると思います」と話す。

 昨季はロッテでコーチを務めていたDeNAの村田修一野手コーチは「パの投手陣が強いのは、投手が打席に立たない分、(セ・リーグのように投手と対戦する)楽な機会が少ないからというのはあると思う。国際大会などを踏まえて、投手の質を上げるには導入してもいい。(大谷ルールがあれば)大谷選手のような存在も、DHの方が出てきやすいのではないか」と好意的だ。

 ただ、球界には慎重な意見もある。今年1月にあったプロ野球12球団の監督会議でDH制が話題に上がったが、座長を務めたロッテの吉井理人監督は終了後、「簡単には決められない」と語った。

 出場できる選手が増えれば、球団の資金力の差が戦力の差に響いてくるという面もある。今後も慎重に議論が重ねられていくとみられる。【岸本悠、荻野公一】

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