第107回全国高校野球選手権大会が5日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕した。暑さ対策のため、初めて夕方に開催された開会式の入場行進では、4年ぶり3回目出場の弘前学院聖愛(青森)が笑顔で行進した。
2024年夏の青森大会では、選手たちがスタンドに向かって笑顔を見せながら、帽子を頭上にかざしたり、手を振ったりして入場行進し、注目を集めた。
高校野球の入場行進は全員が腕や足の動きを合わせ、キビキビと行進するのが通例だ。
01年からチームを率いる原田一範監督はこれに違和感を覚え、「多様性の時代。学校もキリスト教(主義)で平和教育に取り組んできた。うちには軍隊式の行進は合わないし、平和の象徴であるオリンピックのような行進でもいいんじゃないか」と提案した。
選手たちが賛同し、行動に移すと、この取り組みは交流サイト(SNS)上などで話題を集めた。
青森県高野連は大会後、入場行進での振る舞いについて加盟校へ意見を求めた。すると、伝統を重んじ、これまで通りの行進を実施すべきだという意見が大半を占めたため、今夏の青森大会では出場校に手を振るなどの行為をしないよう求めた。
今夏の青森大会では自粛した原田監督は「選手たちは残念そうにしていた。これまでの行進を否定するつもりはなく、いろいろなやり方があっていいと思っている。今後も新しいことにチャレンジするチームを作っていきたい」と受け止めていた。
弘前学院聖愛は今夏の青森大会で青森山田や八戸学院光星など強豪を破って優勝し、夏の甲子園出場を決めた。【長宗拓弥】
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