
7月20日に終わった参院選で、参政党が大きく議席を増やした。
注目されるにつれ、医療や外国人、安全保障に関する立候補者や党員の問題発言が批判を浴びた。
私は日本近現代史を担当する記者として、歴史にまつわる事実誤認の発言が気になっている。
実際にあった日本兵の住民殺害
たとえば沖縄戦だ。
太平洋戦争末期、日米両軍の地上戦で20万人以上が亡くなり、日本側の犠牲者およそ18万8000人のうち、半分は住民だった。
参政党の神谷宗幣代表は5月10日の青森市での街頭演説で「日本軍の人たちが沖縄の人たちを殺したわけではない」などと発言した。
日本兵による住民殺害があったことは、生存者の証言や専門家の研究で明らかだ。神谷代表はこれを全否定したことになる。発言に強い批判が寄せられたのは当然だ。
7月8日に同じ青森市内で街頭演説した際には「謝罪と訂正を求められたが、一切しない」と述べた。
その上で「多くの(沖縄)県民が亡くなったのはアメリカの攻撃によってであり、例外的に悲しい事件があった。大筋の本論を曲げないでほしい」と反論した。
ことの重要性からして「例外」と片付けていい問題ではない。住民を守るはずの軍が住民を殺害したことこそ、大日本帝国の戦争を物語る「本論」なのだ。
「中国大陸侵略はウソ」の間違い
6月23日、那覇市での街頭演説では、神谷代表は大日本帝国の戦争についてこう述べた。
「(日本は)中国大陸の土地なんか求めてないわけですよ。日本軍…
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