
厚生労働省が生活保護費を最大10%減額した措置を巡り、処分取り消しを命じた最高裁判決から1カ月がたった。判決を受け、原告側は受給者への謝罪と適正な生活保護基準との差額の追加支給を求めるが、厚労省は専門家による審議の場を設ける方針を示すものの具体的な議論に至っておらず両者の溝が深まっている。背景には何があるのか。
6月27日の判決当日に原告側は、厚労省に要請書を提出。全ての受給者への真摯(しんし)な謝罪をはじめ、改定前の保護費との差額をさかのぼって支給することや他制度への影響調査などを求めた。
ところが、交渉は最初からつまずいた。謝罪を求めた原告側に厚労省側は「謝罪をするかどうかも含めて検討する」と明言を避けた。6月30日にあった交渉でも、今後の対応について具体的な方針は示さなかった。
しかし、翌7月1日に福岡資麿厚労相は対応を検討するため専門家による審議の場を設ける方針を記者会見で表明。これに対し、原告側は「寝耳に水」だとして方針の撤回を求める抗議声明を出す事態となった。
最高裁判決の捉え方で温度差
両者の議論がかみ合わないのはなぜか。最高裁判決を読んで…
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