
第29回全国高校女子野球選手権大会決勝(2日・甲子園)
○福知山成美10-1岐阜第一●(福知山成美は11年ぶり2度目の優勝)
チーム史上初めてたどり着いた甲子園の舞台で、福知山成美は鋭い打球を次々と天然芝のグラウンドにはじき返した。
決勝までの5試合で計35得点と、攻撃力を武器に勝ち上がってきた。
決勝のハイライトは2―1で迎えた四回。5連打を含む7安打5得点の猛攻で、試合を決定づけた。この回、三塁を強襲する安打を放った3番の松本結愛(3年)は「打のチームと言われてきたからこそ、甲子園でも全員でつないで打ち勝てたことがうれしい」と笑みをこぼした。
女子高校野球の3大大会とされる昨夏の全国ユース大会、春の選抜大会ではいずれも4強止まり。強豪の神戸弘陵(兵庫)と履正社(大阪)に阻まれ、松本は「どうしたら優勝に届くか皆と話した」。徹底したのは今のメンバーの強みである打力を伸ばすことだった。
長野恵利子監督は「悔しい思いをした分、涙を流して(選手たちは)バットを振ってきた」と話す。塁の状況を想定した実戦形式の練習や、ライナーを意識した練習など、テーマを設定したさまざまなバッティングをこなすことで打球には鋭さが増した。その成果を、大一番で見事に発揮してみせた。
夏の決勝は、前回優勝した2014年以来11年ぶり。21年に決勝の舞台が甲子園になり、チームにとっては初めての甲子園だった。
09年の創部からチームを率いる長野監督は「女子野球が今ほど知られていなかった時から考えてみると、(甲子園という)聖地に立てて、優勝できたのは感無量です」と感慨深げだった。【吉川雄飛】
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