○日本ハム9―0オリックス●(3日・京セラドーム大阪)
両リーグ単独トップの11勝目を挙げても、日本ハムの伊藤大海は手放しで喜べない様子だった。
「自分が求められている仕事は全くできていないので、いい気持ちではないですけど、なんとかゼロで抑えられたのは良かった」
立ち上がりから決め球の精度を欠いてファウルで粘られ、毎回走者を背負った。得点こそ許さなかったが、6回で114球を要して降板。両リーグで断トツの20完投を誇るチームにあって、エースの威厳を示すには物足りなかった。
それでも、収穫はあった。
打線の援護をもらった三回以降は「がむしゃらに投げることを封印」。投球に強弱をつけるために、走者がいない場面では脱力して打たせて取り、得点圏に走者を背負ってからはギアを上げて三振を奪った。
「スライダーに合わせられるイメージがあった」という6番の中川圭太に対しては腕をやや下げてサイドスロー気味のフォームを試すなど、「いい意味での遊び心」を持って引き出しを増やしていった。
7月の前回対戦では6回6失点を喫した強打のオリックスに対し、この日は苦しみながらも無失点。「全力で投げてる時は点を取られて、今日みたいにひょいひょい投げている方が点を取られなかったりする。いろんなことを試して、改めて野球の面白さを感じた」
後半戦に入り、リーグは前のカードの直接対決で首位を明け渡したソフトバンクとのマッチレースの様相を呈する。勝負の終盤を見据える中、大黒柱の成長は欠かせない。【皆川真仁】
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