参院選に大敗し、厳しい局面を迎えた自公連立政権。日米両国は7月22日、相互関税を15%とすることで最終合意し、外交面での難問が一つ解決したように見える。しかし、トランプ米政権が打ち出した新たなロシア制裁により、相互関税とは別に100%関税が日本に課される可能性もある。新たな難問への対応が迫られている。
トランプ氏は14日、これまでの親露政策からの大転換を図り、ロシアが50日以内にウクライナとの停戦に応じなければ「新たな制裁を科す」と表明した。ロシア産品を購入する諸国に100%の「2次関税」を課す考えだ。専門家は「ロシアの収入を断ち切ることで、継戦能力に打撃を与えるのが狙いだ」と見ている。
日本も「被害」か
焦点は対象品目だ。トランプ氏は詳細を明らかにしていないが、中国、インド、トルコが大量に輸入している原油を念頭に置いているとみられる。
ただ、トランプ氏と親密な関係にある共和党のグラム上院議員など超党派議員が提案している法案は、天然ガス、石油製品、ウランを対象品目に含めている。サハリン産の液化天然ガス(LNG)を輸入する日本も「被害」を受ける可能性がある。
ロシアの主要輸出産品は、原油、天然ガス、石炭など鉱物資源が占める。中でも日量450万バレルを輸出する原油は、24年には1210億ドル(約18兆円)を稼ぎ出した。輸出先は、中国が47%でトップ、2位はインドで38%、3位はトルコの6%などとなる。石油製品も含め、この3カ国だけで9割を調達し、ロシアの戦費を支える形となっている。
日米欧はウクライナ侵攻開始後、石油も含めロシアに厳しい経済制裁を課している。ただ、日本はサハリンのガス・石油資源開発に資本参加するなど長年関わってきた経緯もあり、「エネルギー安全保障」の観点から、輸入しても米国の制裁を受けない特例措置を受けている。経済産業省資源エネルギー庁によると、米国は今年6…
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