
昨夏の第106回全国高校野球選手権大会で、3回戦の大社(島根)―早稲田実(西東京)は好勝負の一つだった。九回裏に追いつかれた早稲田実が、なおもサヨナラのピンチに左翼手を投手と三塁手の間に置いた「内野5人シフト」は鮮烈な印象を残した。その場面で「レフトゴロ」に倒れた大社の藤江龍之介選手(大阪経済大)は、どんな景色を見ていたのか。【聞き手・吉川雄飛】
接戦は自分たちのペース
――甲子園を沸かせた昨夏の「大社旋風」から1年になります。
◆夏が近づいてくるにつれて、懐かしい気分になります。今でも当時の動画は見ます。もう何回も見ていますね。
――1回戦で優勝候補と言われていた報徳学園(兵庫)、2回戦で創成館(長崎)を破り、大社旋風として話題を集めている中での早稲田実戦でした。
◆それまでは多分、誰も大社のことはそんなに知らなかったと思うので(笑い)。勝ってから「やるな、大社すごいな」と知り合いから言われるようになりました。
早稲田実との試合は「接戦になったら自分たちのペースだ」というふうに(石飛文太)監督から言われていました。接戦に強いチームになるというのは地方大会からのテーマだったので、(延長)タイブレークになった時にはもう自分たちのペースだな、と思っていました。
あそこに飛んだら…
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