
都議選は6月22日に投開票が行われ、杉並選挙区(定数6)で私が密着した3人の候補者の運命も決した。
自民党の早坂義弘さん(56)は党が歴史的な敗北を喫する中でも3位で当選。国民民主党の国崎隆志さん(43)は6位で当選ラインに滑り込んだ。一方、再生の道の小澄健士郎さん(47)は15位と振るわず落選の憂き目にあう。
私は3人を訪ね、勝敗とともに、改めて政治への思いを聞いた。
記者がカメラを片手に候補者に密着した動画連載「民意をこの手に」。全6回の予定で、選挙のリアルに迫ります。
1回目 ある税理士の挑戦
2回目 自民ベテランの苦悩
3回目 国民民主選んだ元自民区議
4回目 自民VS「自民」
5回目 「私が優勢?フェイクだ!」
6回目 選挙とは 政治とは
しっかり地元に
投開票から4日後の26日、小澄さんは、経営する税理士事務所の業務に完全復帰し、忙しい日々を送っていた。
「さすがに落ちたときは悔しくて、現実を受け止められず、気づいたら(スズメが)チュンチュン鳴いていました」
ただ、ビジネスマンらしく、敗因を分析し、次の戦略も立てていた。
「私が次の選挙で受かるとしたら、しっかり地元に根付くということ、空中戦、ネットを使った情報発信もしっかりやる。演説(のコツ)はもうつかめたので、この三つがそろえばいけるんだろうなと」
火を消してはならない
再生の道の42人の候補者は全員落選。ただ、杉並選挙区から出た党公認の3人の得票を合計すれば当選ラインに乗っていた。
「次回は勝てるところに1人の候補者を立てて、選挙戦略を立ててやっていくことが必要。議席を取らないと結局は理想論で終わってしまう」
その上で、人口減少などで国や自治体の財政が将来悪化することを憂えて、こう力説した。
「政党ごとに判断するのではなく、裁判官のように誰の味方でもない中立的な立場で厳しい判断ができる人が、議会に一定数必要です。新しいものって最初は難しい。根気が必要だと思います。再生の道の火を消してはならない」
自民と国民民主の違い
同じ26日、国崎さんの選挙事務所を訪ねると、国民民主党が2人の公認候補を立てる参院選に向けた準備作業を始めていた。
「本当に最後の最後まで危機だった」
元々自民党区議だったため、人気上昇中だった国民民主党への転身が批判の的にされることもあった。だが内実は、自民時代の支援者のほとんどが離れ、ポスター貼りにも四苦八苦した。「今回はゼロからの戦いだった。焦りもあった」と率直に語り、選挙の主な勝因は党の人気にあったと認める。
取材中、「何でも聞いてください」と言うので、古巣の自民党への思いを聞いてみた。組織と業界団体の支援が受けられる選挙戦を「うらやましいと思った」と笑う一方、二つの党の違いをこう語る。
「国民民主党は、いわゆる団体の長だけでなくて、ちゃんと一人一人の声を広く吸い上げる。自民党さんよりは、うちの方が(国民に)寄り添ってるんじゃないか」
政治家としてのあるべき姿
それが国民民主党にほれこんで転身した理由でもあった。選挙中、国崎さんの元には区民からたくさんの意見が寄せられたという。
「(意見は)逐一、党に上げて、本当に声が大きいものはしっかり政策にしていく。(政治を)税金を払った側の立場に立ってやる。それが政治家としてあるべき姿。今までできていなかった」
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