群馬県伊勢崎市で5日、国内観測史上最高となる気温41・8度を記録するなど全国的に酷暑が続くなか、警戒されるのが子供の熱中症リスクだ。大人よりも身長が低く地面の照り返しを受けやすいほか、体に熱がこもりやすいためだ。
サントリー食品インターナショナルとウェザーマップが2023年に実施した実験によると、大人と子供の身長を想定した高さ170センチと120センチの地点の気温を測ったところ、120センチ地点が約7度高かった。
24年5~9月の東京都内で最高気温35度以上の猛暑日は20日間。これを7度低い28度以上にまで広げると「子供が体感する猛暑日」は69日間に跳ね上がった。今年は既に28度以上の日数が50日を超えており、前年を上回る公算が大きい。
サントリーは、この子供特有の暑熱環境を「こども気温」と命名し、啓発活動を行ってきた。今年は、子供は大人の6割しか発汗能力がなく体に熱がこもりやすいことにも着目し、暑さ回避を訴求している。
6月にはウェザーマップと共同で、猿江恩賜公園(東京都江東区)の日なた1カ所、日陰4カ所の暑さ指数を計測。すると、同じ日陰でも場所によって約3度の差があったという。
そこで「いい日陰」の条件として「おおきいひかげ」「かぜがとおる」「しぜんのちかく」の頭文字を取り、「夏の『お・か・し』」という標語を作成。7月、同公園内を巡って「お・か・し」に当てはまる日陰を探すイベントを実施した。
参加した市村葵羽さん(11)は「日陰ってこんなに涼しいんだ。休憩しながら遊んで、熱中症にならないように気をつけたい」と話した。サントリーの担当者は「うまく暑さから逃げて過酷な夏を楽しく安全に過ごして」と呼びかけた。
例年より速いペースで猛暑日を記録している今夏は、熱中症対策の商戦も活況だ。雨具製造の小川(名古屋市)によると、子供用の晴雨兼用傘の主力製品は、1~6月の累計販売数が前年同期比1・7倍。ランドセルメーカーのセイバン(兵庫県たつの市)も、軽量保冷剤付き背あてパッドが前年の1・3倍売れているという。【鴨田玲奈】
Comments