
「おはようございます!」
7月のある日曜。午前7時を過ぎると、元気いっぱいにあいさつする小中学生の声が剣道場に響いた。江戸中期から歴史をつないできた「神道無念流 戸賀崎練武道場 惠文館」(しんどうむねんりゅう とがさきれんぶどうじょう けいぶんかん)=埼玉県久喜市=は週末の早朝稽古(けいこ)が鍛錬の時だ。

「まだまだ眠い時間帯に早起きして稽古する。精神面でも子どもたちは鍛えられていると思います」。こう語るのは館長の戸賀崎正彦さん(48)。子どもたちは素振りの後、剣道具を身につけて、メン、コテ、ドウといった基本的な技の練習や打ち込みを繰り返す。時に荒い息づかいで懸命に技を繰り出していた。
中学1年生の鈴木杏梨さんは「朝起きるのは大変だけど『きょう一日頑張ろう』と思って起きている」。この日の稽古は1時間ほど。終了後、小中学生たちは仲間とのおしゃべりを楽しんだ後、道場から引き揚げていった。戸賀崎さんによると、子どもたちは帰宅後に朝食を取ったり、出かけたりと家族の時間を楽しんでいるといい「週末の朝稽古のいいところは、休日を有意義に使えること」と胸を張った。
惠文館は1800年代までさかのぼることができる由緒ある剣道場で、戸賀崎さんは九代目に当たる。大正時代にいったん閉鎖されたものの、戸賀崎さんの父が私財を投じて今の道場を建て、2002年に再興した。目標に掲げるのは「生涯剣道」「交剣知愛」「師弟同行」の三つ。子どもたちの指導では、生涯剣道の土台作りを重視し、基本に力を入れている。

東京都葛飾区の奥戸総合スポーツセンターで8月3日に開催される第2回大江戸旗・葛飾区長杯全国選抜少年剣道大会(葛飾区剣道連盟主催、毎日新聞社など後援、富山常備薬特別協賛)には2年連続で出場する。戸賀崎さんは「小中学生が一緒に出られる大会は多くない。全国の強豪と力試しができるのもありがたい」と大会の魅力を説明。中堅で出場する鈴木愛莉さん(小6)は「試合で勝ったときは達成感がある。一つでも多く勝ちたい」と意気込んだ。【曽根田和久】
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