ふるさとと自分、未来を考える4日間 中高生向け合宿、大学生が企画

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学生団体「ブーメランカレッジ」のメンバー9人。合宿の運営では、教育、歴史、街づくり、福祉、第1次産業など、それぞれの志向に合わせて役割分担する=同団体提供 拡大
学生団体「ブーメランカレッジ」のメンバー9人。合宿の運営では、教育、歴史、街づくり、福祉、第1次産業など、それぞれの志向に合わせて役割分担する=同団体提供

 「高校の同級生だったわたしたちが 大学のないふるさとで 中高生対象・3泊4日のゼミ合宿を開講したい!」――。愛媛県宇和島市とその近郊で生まれ育ち、大学進学のため4月に故郷を離れた9人の男女が、こうしたタイトルのクラウドファンディング(CF)で資金を集め、9~12日に同市を中心に3泊4日の中高生合宿を実施する。主催する9人による学生団体「ブーメランカレッジ」が込める思いとは――。

 合宿「わたしとふるさとゼミ」(同団体主催、同市教委共催)には、オンラインで募集に応じた26人の地元中高生が参加する。①この4日間でしか味わえない「学び」と「旅」のかけ算!②「歩く×伝える」でまちがもっと好きになる③岩松のまちなみに彩りもたらす4日間④宇和島の「食と暮らし」を感じる そして伝える4日間⑤つながりのチカラを体感する4日間――の5コースがある。

 伝統的な建築物群が残る同市津島町岩松地区での街歩きツアーや、住民との交流会で地区の未来を描いたり、福祉や防災について学んだりして世界に一つだけの「地域食堂」を準備するなど、宇和島圏域に残る貴重な資源に向き合いながら、自分と未来を見つめる合宿メニューを考えた。

「ブーメランカレッジ」のメンバーが作成した「わたしとふるさとゼミ」のロゴ=同団体提供 拡大
「ブーメランカレッジ」のメンバーが作成した「わたしとふるさとゼミ」のロゴ=同団体提供

 同団体の9人は、4月から島根県立大▽島根大▽広島文教大▽環太平洋大▽松山大▽高知大▽大分大▽同志社大▽新潟食料農業大――で学生生活を送る傍ら、毎晩のようにオンラインミーティングを行い合宿を準備。6月に実施したCFでは、200万円の目標に対し275万7500万円を集め、今回の費用を賄うことができた。

 もともとは宇和島市内4校の高校生有志が、地域を元気にする活動を考えて実行に移す「ワクジマ生徒会(ワクワクと宇和島をかけた造語)」の卒業生が中心。全国に散りながらも「ふるさと」と改めて向き合い、未来に向けて何かできることはないかと考えてきた。「ブーメランのように人の流れをつくりたい」。合宿はそのための「社会実験」でもあるという。団体は2026年春には株式会社化し、ビジネスモデルを磨きながら「ふるさとを強くする地域商社」とする構想を練る。

 ブーメランカレッジ代表の島根県立大1年、井上弘一朗さん(19)=愛媛県立宇和島東高出身=は「春以降、メンバーとオンラインで話していても、『ふるさとが心の中にある』という安心感を伝え合うことが多くなりました。家庭と学校の往復だけでは気づくことができなかった地元の素晴らしさに、中高生もこの機会にぜひ気づいてほしい」と話す。

 合宿には福祉、農業、観光、街づくりなどで地域を支える事業者も多く加わり、体験や知恵を伝えながら成果を見守る。【松倉展人】

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