埼玉県行田市でマンホールに男性作業員4人が転落し死亡した事故で、現場の下水道管内から国の基準値(濃度10㏙以下)の8倍に上る約80㏙の硫化水素を検出したことが3日、市消防本部などへの取材で明らかになった。また県警行田署は同日、4人の身元を発表した。県警は4人を司法解剖して死因の特定を進めるとともに当時の安全管理が十分だったかどうか、業務上過失致死容疑を視野に捜査する。
行田署によると、死亡した4人はいずれも、さいたま市の土木工事会社の社員で、行田市谷郷2の本間洋行さん(53)、同県上尾市平塚の樋口英和さん(56)、同県鴻巣市上谷の松村誠さん(54)、同県北本市の男性(54)。行田市消防本部によると、4人は発見時に防護マスクや酸素ボンベなどを身に着けておらず、現場付近にもなかった。
2日午前9時25分ごろ、下水道管の点検中に作業員がマンホール内に転落したと119番があった。午後4時ごろまでに4人全員が救助されたが、いずれも搬送先の病院で死亡が確認された。
県警はマンホール内のはしごを伝って下りた本間さんが転落し、助けようとした3人も相次いで落下したとみており、転落の原因を調べている。
点検は、1月に同県八潮市で起きた大規模道路陥没事故を受けて国が全国の自治体に要請した調査の一環。4人の勤務先は行田市から業務を委託されていた。【加藤佑輔】
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