石破茂首相(自民党総裁)は4日の衆院予算委員会で、企業・団体献金のあり方について立憲民主党の野田佳彦代表との協議に応じる考えを示した。野田氏から「私と総理で膝を突き合わせて協議し、合意をしていく気はないか」と問われ、首相は「そのようにさせていただきたい。第1党、第2党が党首同士で真摯(しんし)に議論することに大きな意味がある」と語った。
6月に閉会した通常国会では、企業・団体献金を存続させた上で透明化を図る自民の法案と、立憲などの禁止法案が激しく対立し、両案とも採決されないまま結論が先送りされた。
野田氏は「毎日でも議論し結論を得て、他党に賛同を呼び掛けることを覚悟を決めてやらなければならない」と強調。献金の受け取り手を政党本部や都道府県単位の組織に限定する公明、国民民主党の案を軸に協議を求めた。
首相は「どうすればフェアな形でできるか、政治がお金によって左右されるということが起こらないか。本質的な問題を党首同士で話し、各党で共有される努力をしていく」と述べた。
また、この日の予算委で首相は、戦後80年の節目に表明を検討している「首相見解」について強い意欲を示した。「(歴史の)風化はあってはならず、風化をしないような努力が必要だ。形式はともかく、戦争を二度と起こさないための発出は必要だ」と語った。
首相は戦後50年、60年、70年の節目で閣議決定された首相談話の積み重ねを大事にするとし「単なる思いの発出だけではなく、何を誤ったのか。なぜ(政治システムが)歯止めたりえなかったのか考える必要がある。我が国が今年、世界に向けて何を発出するかに私自身の思いとして強いものがある」と強調した。
政府は15日の終戦の日には首相見解を出さず、別の機会に表明することも視野に検討を進める。
一方、トランプ米政権の関税措置に関し、日米間で合意文書が作成されていないことについて問われ、赤沢亮正経済再生担当相は「ギリギリまで交渉して合意を発表するが、文書を作ろうとしていたらいつまでたっても関税を引き下げてもらえなくなってしまうということを一番恐れた。覇権国が外交交渉のやり方を変えようとしており、これまでと同じ対応はなかなかできない」と理解を求めた。【鈴木悟、遠藤修平】
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