
「全国の最低賃金が同じなら、古里に帰って働けるんですけどね」
東京都新宿区在住でスーパーのアルバイトとして働く菊地成美さん(35)は、岩手県や宮城県と県境を接する秋田県東成瀬村の出身だ。
山深い古里を思うと、胸が締め付けられるような思いにかられる。
秋田の高校を卒業して、仙台市の調理専門学校に進んだ。1年で調理師の資格を取り東成瀬村に戻ったが、地元は仕事が少ない上に賃金が低い。
実家は兼業農家だが、亡くなった父は冬は毎年、関東に出稼ぎに出ていた。菊地さんも19歳で東京へ出てきた。
特に就職のあてはなかったが、仕事の多い東京なら何とかなるかと考えた。最初に住んだ新宿区で、家の近くにあった韓国料理店に仕事を見つけた。店は1年たたないうちに閉店となり、その頃開店の準備をしていた近所のスーパーで働き始めた。
正社員との「格差」
調理師免許を持っていたこともあり、オープニングスタッフとして採用された。だが、…
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