大阪市の大阪・関西万博の会場では5日、戦争の悲惨さを訴え平和への願いを込めた展示や行事が相次いだ。
広島県が出展する特設ブース「RE:WORLD HIROSHIMA」がオープンした。仮想現実(VR)を使って、被爆80年の復興の歩みを追体験する展示もある。長崎原爆の日の9日までの期間限定。
参加者はゴーグルを装着して、原爆投下前後から現代までの広島の町並みを360度見渡すことができる。体験した堺市の会社員、森岡美和子さん(56)は「平和は祈るだけでなく作るというメッセージが印象的だった。広島に足を運び、平和のためにできることを考えたい」と話した。
オープニングセレモニーでは、広島県の横田美香副知事が「被爆の実相を次の世代に伝えていかないといけない時期に、国内外の人が集まる万博に出展することには大きな意味がある」と語った。
5日はウクライナのナショナルデーで、公式式典も開かれた。ゼレンスキー大統領の妻オレナさんが出席し、同国の展示について「攻撃を受けながらも助け合い、国を再建し、前進しようとするウクライナ人の姿を描いている。知識こそが、間違った浅い理解や正義・人権の軽視などに対する最良の薬だ」と述べた。
式典では、この日のために制作された楽曲「感謝の賛歌」が披露された。テクノ音楽と伝統的なウクライナ民謡の要素を融合させたライブパフォーマンスもあり、演者らはウクライナ語で「スラーバ・ウクライニ」(ウクライナに栄光あれ)と声を上げた。【長沼辰哉、面川美栄】
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