「核兵器廃絶、実現しなければ死も意味しうる」 広島知事の訴え

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広島原爆投下から80年の朝を迎えた平和記念公園=広島市中区で2025年8月6日午前6時50分、大西岳彦撮影 拡大
広島原爆投下から80年の朝を迎えた平和記念公園=広島市中区で2025年8月6日午前6時50分、大西岳彦撮影

 核兵器廃絶は実現しなければ、死も意味しうる、現実的・具体的目標です――。広島県の湯崎英彦知事は6日、80回目を迎えた広島市の平和記念式典であいさつし、核廃絶に向けて歩みを止めないと誓った。

 湯崎知事はまず、法と外交を基軸とする国際秩序が様変わりしたと指摘。「むき出しの暴力が支配する世界へと変わりつつある」とした。

 こうした中で、核抑止がますます重要だと声高に叫ぶ人たちがいるとしたうえで、「本当にそうなのか」と疑問を投げ掛けた。

 抑止とは自信過剰な指導者の出現や突出したエゴ、高揚した民衆の圧力などで崩れると主張。「力の均衡では圧倒的に不利と知りながらも、自ら太平洋戦争の端緒を切った」。抑止論を前提とした合理的判断が働かなかった事例として、かつての日本を挙げた。

 核による抑止が破れて核戦争になった場合、人類や地球が再生不能になると警告し、「国土も国民も復興不能な結末がありうる安全保障に、どんな意味があるのか」と疑問を呈した。

 そのうえで、抑止力の概念について「武力の均衡のみを指すものではなく、ソフトパワーや外交を含む」と強調。核のない新たな安全保障のあり方を築くため、「頭脳と資源を集中することが今我々が力を入れるべきことだ」とした。

 締めくくりとして、核兵器廃絶は具体的な目標だと掲げ、「決して諦めず、粘り強く、核兵器廃絶という光に向けて進み、人類の、地球の生と安全を勝ち取ろうではありませんか」と訴えた。【矢追健介】

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