「無理だろ、どうせ。家探しと一緒だよ。期待するだけ無駄だから、そういうこと言わないでよ」
凌生の口から、ほぼ反射のように声が出る。家を探すと言っておいて、山本だって探せなかったじゃないか――嫌みも込めて言った声に、しかし、山本は怯(ひる)まなかった。
「どうか期待を、してください」
圧はないのに、耳に残る声だった。咄嗟(とっさ)に凌生が黙ると、山本が続けた。
「家探しで、期待を持たせておいてご意向に沿えなかったのは私の落ち度です。だからこそ、すみません。どうしてもお伝えしたくて、黙っていられませんでした。介護職の人材を探しているところは今、とても多いと思います。だから、鹿島さんに一度、外を見ていただきたくて」
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