
「お米が炊けたから、食べたいだけよそって」。昼食の準備をしていた白井祥子さん(仮名、53歳)が、中学3年の次男(14)に声をかけた。
野球部で最後の大会を翌週に控える次男がどんぶりを手にした。炊飯器から炊きたての米を山盛りによそう。リビングの柱には3人の子どもの身長が刻まれていた。次男の身長は、もうすぐ目標の170センチに届きそうだ。
東京都内に暮らす白井さんは、2022年に夫を心筋梗塞(こうそく)で亡くした。シングルマザーとして、少し手の離れた大学生の長男長女に加え、食べ盛りの次男の子育てに奔走している。
現在は月に約15万円の遺族年金を受給し、貯金を取り崩しながら暮らしている。元々は教師で復職を検討していた。だが、死別後にうつ状態となり、記憶力や理解力が落ち、仕事に戻れない状態が続いている。
一時期は家事も手に…
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