「100点満点で5点」大川原冤罪報告書 捜査員の酷評

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警視庁=米田堅持撮影
警視庁=米田堅持撮影

 ため息をつきながら、あきらめたように苦笑した。「同じ組織の人が検証する限界でしょう」。化学機械メーカー「大川原化工機」を巡る冤罪(えんざい)事件の捜査に携わった捜査員は、警視庁が7日に公表した検証報告書に対し、「事件の本質を探ろうとしていない逃げ腰の内容だ」と切り捨てた。

経産省に新たに聴取せず

 捜査員がまず指摘したのは、公安部長による経済産業省への働きかけの有無に関する報告書の記述だ。

 経産省は当初、公安部による輸出規制省令の独自解釈に否定的な見解を示したが、一転して「(大川原の噴霧乾燥器が規制に)該当すると思われる」と回答。外為法違反での社長らの逮捕・起訴につながった。

 経産省の見解が変わった要因について、公安部と経産省の打ち合わせに同席していた警部補は国家賠償訴訟で「公安部長が経産省にお願いしたと認識している」と証言した。

 報告書は「当該証言は明確な根拠があったわけではない」と指摘。国賠訴訟で尋問された経産省の担当者が、そのような働きかけはなかったという趣旨の証言をしたことや、新美恭生公安部長(当時)も警視庁の調査に対して否定したとして、「公安部長が経産省に働きかけた事実はなかった」と認定した。

 ただ警視庁は検証の中で、経産省の職員に対して新たな聴取はしていない。捜査員は「内部に対するだけの調査で、誰が信じるのか」と批判した。

違法認定判決を「明らかに無視」

 裁判所の判断との乖離(かいり)も感じる。国賠訴訟を巡る5月の東京高裁判決は、大川原の元取締役に対する公安部警部補の取り調べを「偽計的」として違法と認定した。一方、報告書は「警部補は(取り調べの)趣旨や重要性に対する著しい理解不足によって不適正な手続きを行った」と指摘するにとどめた。

 国賠訴訟では、取り調べに立ち会った巡査部長が、不当な取り調べを指摘するノートを残していたことが明らかになっている。ただ、報告書はノート…

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